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2007年08月26日

桂ヒナギクがピンク色の髪をしているのはなぜ?

質問

「ハヤテのごとく」に出てくる桂ヒナギクの髪の色はピンクです。とてもアナーキーです。
彼女はVisual Keiの追っかけだったり、バンギャルだったりするのでしょうか。作中には、そのような描写は一切出てこないんですが。
私には、普通の女子高生の髪の毛がピンクであるのは、とても不思議に思えます。






答え:

まず、私にはVisual Keiやバンギャル(band gal)、また日本における染髪の文化的知識があまりないことをお断りしておきます。だから、質問者の期待にそえる回答ができるのかどうか、ちょっと自信がありません。そのうえで、私なりに回答してみたいと思います。
確かに、ヒナギクの髪の毛はピンクです。しかし、ヒナギクの髪の毛がピンクであるのは、別に彼女がVisual Keiの熱烈なファンであったり、ましてやセックス・ピストルズの大ファンであったりといったことを意味するのではないと思います。



・・・・・といった感じで、今回はAskJohnふぁんくらぶ風にお送りしてみようか、と思ったのだけれども、冒頭の数行を書いただけで行き詰ってしまった・・・・・。

そもそも、生粋の日本人である私がアメリカ人になりすますのはちょっと無理。
しかも、アメリカ最強のオタクに。
自分はぬるヲタですしねえ。
なので、ここからは普通に書きます。
(しかし、これに似た質問って、昔、AskJohnふぁんくらぶで実際にあったような気がするなあ)

で、質問者の質問は何でしたっけ?
ああ、そうそう、「桂ヒナギクの髪の毛はなぜピンクなのか」ということだった。
ここらへん、自分で質問して、その質問に自分で答えるという行為に若干の虚しさを感じないでもない。
しかし、そういう虚しさはいつものことなので、まあいいや。

確かに、ヒナギクの髪の毛はピンクである。

hinagiku.jpg

これは、確かに奇異に思える。

たとえば、私の出身高校は極めて自由な校風で、生徒が煙草を吸っていると、先生が見て見ない振りをする、といった具合に、生徒の自主性が恐ろしく尊重されていた。
ピアスなんかもやりたい放題だったし、まして髪型などに口を挟む先生はいなかった。
しかし、そんな我が母校でもピンクの髪をした生徒は一人もいなかった。
約一名、北斗の拳に出てくる雑魚キャラみたいな髪型をした奴がいたくらいだけど、それでもピンクの髪をした生徒はいなかった。

それなのに、ヒナギクの髪の毛はピンクである。
しかも、あろうことか、彼女は生徒会長なのだという。
んなアホな。

質問者(あ、それ私ですけど)の言うとおり、作中でヒナギクがピンクの髪であることに触れられてはいない。
普通、女子高生がピンクの髪をしていれば、近所のおばさん連中から「あらあら、桂さんとこの娘さんもグレちゃって」などと陰口の一つもたたかれそうなものであるが、そんな描写はない。

この桂ヒナギクに限らず、アニメに出てくるキャラはけばけばしい髪の色をしていることがままある。

たとえば、らき☆すた。


luckystargazou.jpg

えっと・・・・、これはどこから手をつければいいもんか・・・。

まず、主人公の女子高生の髪の毛は青である。
双子は両方とも紫の髪。
右端のお嬢さまにいたっては、髪の毛がショッキングピンクという有様。
この他にも、このアニメに出てくる先生はブロンドであったりする。

ものすごく不自然!だと私は思うんだけど、どうやら、ほとんどの人は不自然だとは思っていないみたいだ。

たとえば、

Danimation

ここの管理人さんは、らき☆すたがリアルではない、といってらき☆すたを批判しているのだけれど、このけばけばしい髪の色については何も書いてない。
リアルでないと言うなら、こんなにリアルでないことはないだろうに。
ここまで、らき☆すたに批判的な人だというのに、らき☆すたキャラの髪の色については、何も言及してないのだ。

いわば、見えてるのに見えてない状態なのである。
(まあ、あまりに下らないテーマだから言及してないだけだろうけど。しかし、そんな下らないテーマについて一生懸命書いてる私はいったい・・・・)

こんなふうに、アニメに出てくるけばけばしい髪の色というのは、視聴者には見えてるのに見えてない状態になってる。
無意識的に脳内で処理してしまうのである。

たとえば、「そりゃ顔を描きわけるより、髪の色でキャラ認識させたほうが楽だもんなあ」と大人の事情に思いをはせて見ないことにしてしまったり、「本当はこんな髪の色ではないはず」と勝手に脳内処理してしまったり。

もっとも「そりゃ顔を描きわけるより、髪の色でキャラ認識させたほうが楽だもんなあ」は、らき☆すたには当てはまらないけど(ただ単に原作がそうだっただけ)、多くのアニメで変な髪の色のキャラが多いのは、多分そういう理由なのだろうと思う。

ところで、「本当はこんな髪の色ではないはず」という脳内処理はなかなか興味深い。
たとえば、桂ヒナギクは「本当は」ピンクの髪をしてないだろうという感想を私は持っているのだけれど、ここで言う「本当」とはいったい何を指しているのだろう。

原作マンガだろうか?

確かに原作マンガでは、ヒナギクの髪に色はついていないが、それはマンガが白黒だから、という単純な理由によるものである。
マンガが色彩の欠如したメディアであるから、ヒナギクの髪に色がついていないだけの話であって、マンガの表紙にヒナギクが登場した時には、ちゃんとピンクの髪をしているのだから、どっちが本当かと言えばアニメの色がついた状態のほうが「本当」なのだ。

ここで言う「本当」とは、たぶんこんな意味である。

もし「ハヤテのごとく」が実写化されることがあったら、ヒナギク役の女優はピンク色の髪ではなく、おそらく黒髪、もしくは控えめな色の髪(ちょっと茶色がかったくらいの)で登場してくるのだろう。

そんな予感をもとに私はヒナギクの髪の色が「本当はこんな髪の色ではないはず」と思っている。
つまり、存在してすらいない「ハヤテのごとく」の実写版を頭に浮かべて「本当」を想定しているのである。

うーん。自分の無意識的な思考の流れをトレースしてみただけなのに、結構、面白い。

アニメを見るときには、こんなふうに無意識的に処理してしまってる事柄がかなり多い。
とりあえず、アニオタに限れば、髪の色の奇抜さが意識に昇ってくることはほとんどないと言ってよい。
もっとも、アニメを見慣れていない一般人は話が別。
おそらく、一般人がらき☆すたを見たら、かなりの違和感があると思う。
それはストーリーがどうこういう話ではなくて、単純に見た目の問題。

さて、多くのアニオタの皆さんは、髪の色については無意識的に脳内処理する術を見につけているのだろうと思うのだが、それでは他の記号的表現についてはどうだろう?

たとえば、「リボン」とか。

また、らき☆すたの話題になるのだが、らき☆すたの双子はリボンをつけている。

luckystargazouribon.jpg

しかも、一人は一般的にはありえないリボンの付け方をしている。

luckystargazouribon2.jpg

らき☆すたを見ているときに、この『リボン』は果たして意識にのぼっているだろうか?
具体的に言えば「なんだよ、このリボン。高校生がリボンってありえね」と我々は思いながら、このアニメを視聴しているのだろうか。

おそらく、ほとんどのアニオタの皆さんは、これもまた無意識的に処理してしまって見えてるんだけど、見えてない状態にあると思われる。
髪の色に対するのと同じ態度だ。

しかし、「リボン」の場合は「髪の色」ほどは無意識的に処理されてないような気がする。
現実世界では、リボンというものは子供がつけるもの、と相場が決まっている。
そのイメージを引きずっているために、完全に無意識的に処理しているとは言い切れないのではないだろうか。

ここでは実験として、アニメに出てくる大人の女性キャラにリボンをつけてみることにする。





koukaku.jpg
大人の女性

↓ リボン装着

koukakuribon.jpg


どうだろう。
この圧倒的な違和感。

こうやってみると「リボン」というものは、無意識的に処理されているとは言いがたいところがある。
草薙素子にこれほどまでの違和感を付け加えてしまうのだから、やはり「リボン」が「幼」の記号として機能しているのは確かなようだ。
とりあえず、「リボン」は「髪の色」ほど無意識化されてはいない。
意識されることもあるし、また無意識化されることもある。
アニメにおける「リボン」とは、そういう微妙な立ち位置にあるようである。


終わり。



最初は、ここで終わる予定だった。

しかし、「らき☆すたに出てくる先生ってまさかリボンつけてたりしないよね」と、ちょっと気になったので一応、念のために確認してみた。


luckystarsensei.jpg


思いっきりつけてやんの、リボン。


いや、これは我ながらびっくり。
というのも、この先生がリボンをつけているという意識が私にはまったくなかったからだ。
上で書いたように、見えているんだけど見えてない状態だった。
無意識的に処理してしまってた。
このリボンを。

こうしてみると、リボンが意識化される(目だってしまう)アニメ空間と、無意識的に処理されるアニメ空間があるようである。
攻殻機動隊では少女の義体ですらリボンはありえないのに、らき☆すたではリボンは大人の女性がつけていても見逃される。

また、最初の「髪の色」の話に戻ってみるが、攻殻機動隊のキャラはほとんど黒髪である。
草薙素子の髪は正確にいえば、紫がかっているんだけど、まあ黒髪とみなしていいだろう。
バトーの髪は白髪なんだか、脱色してるんだかわからんが、まあ、こういうのは少数派。
カラフルな髪の毛が揃ってるらき☆すたとは全然違う。

分別のある人は
「攻殻機動隊はリアル志向で、らき☆すたは萌えアニメだからねえ」
とおっしゃるかもしらん。
しかし、この言い方ってよくよく考えると不思議だ。
攻殻機動隊が「リアル」志向だっていうところが。

だって、攻殻機動隊って簡単に言えばSFだ。
脳みそが電脳化してしまっていて、肉体を失って義体化してたり、肉体の一部が義体化してたり、っていう世界観。
これから科学技術が進歩しても、こういう世界が訪れるとは私には到底思えない。
とても現実ばなれしたお話なのである。

一方、らき☆すたは女子高生の日常を描いたお話。
「オタクな女子高生なんて現実味がない」と批判してる方もいたけれど、一度に複数の義体を操れる草薙素子の圧倒的な現実味の無さに比べたら、オタクな女子高生なんてぜんぜん普通な存在だ。
オタクな女子高生くらい掃いて捨てるほどいるんじゃないかっていう気さえする。
らき☆すたは極めて現実的なお話なのだ。

それじゃ、攻殻機動隊とらき☆すたはどっちが「リアル」なのだろう。
リアルではない話をリアルな肉体で描いている攻殻機動隊と、リアルな話をリアルではない肉体で描いているらき☆すたと。

こう考えていくと、そもそも「リアル」であるとはどういうことか、みたいな哲学的なテーマについて触れないわけにはいかず、そして、そんな哲学的テーマを扱うのはまっぴらごめんなので、この文章はここで強制終了したい。



とりあえず私に言えることは、らき☆すたのキャラデザインで攻殻機動隊のストーリーを表現することはまず無理だし、

konatabackup.jpg

また、攻殻機動隊のキャラデザインでらき☆すたをやってみても、これはこれで違和感があるってことくらいだ。

motoko.jpg


今回の記事は、もともとツンデレにツインテールが多い理由、これを書いてるときに思いついたもの。
だから、リボンがどうこうって話が突然出てきたりするんですけど。

[関連記事]
白黒の世界に色を付けるアニメ化という意味
やまなしなひびさんが、この記事に対して書いてくれた記事。
見ての通り、ウチの記事はろくでもないんで、ちゃんとしたものが読みたい人はこちらへどうぞ。

[ちょっと気になった記事]
コミックの断裁面について
そのデコボコになってるのって、たしかわざとやってたはずですよ。
前にテレビで見た記憶があるんだけど、そんなふうにデコボコになってたほうが、ホコリがついたときに取れやすいんだそうです。
マンガだけでなく文庫本とかもデコボコになってるやつが多いですし。

私が見たのは、「文庫本の断面がデコボコになってる理由」だったんで、マンガにもそれが当てはまるかどうかはわかんないです。
うーん、わざとなのかわざとじゃないのか、どうなんでしょう?
最初から「文庫本」についての情報だってことを書いておけばよかった・・・・。
すいません、混乱させるようなことを書いちゃって。

『精霊の守り人』がおもしろすぎて困る件。
私は「面白すぎる」とまでは思わないけど、確かに面白いです、精霊の守り人。
見てない人は見たほうがいいですよ。
もう終わるって時にそんなこと言っても仕方ないんですけど。

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man

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