最近、巡回してるブログなんかで、ケータイ小説の恋空の話題が出てた。
そういえば、今までケータイ小説ってのを読んだことがなかったんで、いい機会だと思って読んでみた。
恋空
主人公は女子高生の美嘉。
ひょんなことから、ヒロという不良と付き合うことになり・・・・っていう始まりなんだけど、これ確かに展開が速い。
レイプ、自殺未遂、妊娠、中絶。
作中時間ではたぶん一、二ヶ月くらいのもんだと思うんだけど、その短期間にとんでもない事件が次々起こる。
どれだけ波乱万丈なんだか。
しかも、登場人物の内面描写や情景描写が極めて少ない。
たとえば、初めて二人がセックスするシーン。
部屋の描写がないので、どんな部屋でセックスしてるんだか、ぜんぜんわからなかった。
普通の小説だとシーンが変わるときは、最初に情景描写とかがあるもんだけど、そういうのがないから、いつのまにか事件が起こり、いつのまにか終わってる。
そういう突拍子もない感覚がある。
少しぼーっとして読んでたら、いつのまにか主人公が自殺未遂してたのには驚いた。
自殺未遂という大事をあっさり書き流してるのに、クリスマスパーティみたいなどうでもいいことを、その五倍くらいの分量で書いてるのは何なんだろう?
クリスマスパーティ>自殺未遂
なんだろうか、この人の頭のなかでは。
それと主人公の美嘉。
この娘は一言で言えば「アホの子」。
普段、アホの子萌え〜とか言ってる人は、この美嘉でも萌えられるのだろうか?
これ、ホントにアホの子なんだが。
病室から出て行こうとする看護士を引き止める。
「……流産って何ですか??」
看護士は悲しげな表情で流産について説明をしてくれた。
「胎児が子宮内で死んでしまって妊娠が継続できなくなることです…」
看護師が悲しげな表情をしてたのは、美嘉が高校生にもなって「流産」の意味すら知らなかったからだと邪推したのは私だけではあるまい。
それから彼氏のヒロ。
この彼女にしてこの彼氏あり、というべきか、これまたアホの子。アホの男の子。
美嘉がレイプされる事件が起こり、犯人探しに奔走してたヒロ。
犯人の男達にレイプを依頼したのは、ヒロの元カノの咲だった。
なぜ会ったこともないのに、美嘉の顔を元カノが知ってるのかと訊かれたヒロはこう答える。
「実は美嘉と付き合い初めてから一回咲と会った。っつーか家の前にいたんだ。そん時美嘉のプリクラくれたら諦めるって言われたから一枚やったんだよな…ごめん」
ヒロ、お前バカすぎる・・・・。
別れようとしてる女に彼女のプリクラ渡してどうすんだよ。
そいつが良からぬことに使おうとしてんのは見え見えじゃないか。
このヒロは頭が悪いだけでなく、道徳的な面でもどうかと思われる行動がいろいろと。
美嘉に思いを寄せている「さわやかなスポーツマンタイプ」のタツヤ。
タツヤに嫉妬したヒロは、便所の窓ガラスを自分が割ったくせに、タツヤに濡れ衣を着せて退学処分に追い込む。
後で反省し、タツヤに謝るシーンがあったりもするのだが、人の人生を思いっきり狂わせておいて謝って済む話だとも思えないんだが、これ。
こんな感じで様々な疑問を頭のなかで渦巻かせながら読んでたんだけど、200ページくらい読んだところで力尽きました。
ホントは全部読んでから書こうと思ってたんだけど。
中盤に入ってから、大した事件も起こらず、別れる別れないとかの下らない話が延々続くんで嫌気がさして読むのやめちゃった。
感想。
これは小説じゃないなあ。
別に「こんなのは小説じゃない!」ってことを言ってるわけじゃなくて、恋空は一般的な小説の技法を思いっきり無視してる。
そういう意味で小説じゃない。
我々が無意識的に想定してる小説というスタイルを思いっきりぶち壊してる点で、ケータイ小説は面白かった。
この恋空ってのは正真正銘の駄作でありバカにされて然るべきものだと思うが、そのうちケータイ小説にも、西鶴みたいな才能のあるヤツが出てくるかもしれない。
ただ、ケータイ小説をもっと読みたいか、って言われればそりゃ読みたくはないわ。
そんなに時間が有り余ってるわけでもないのに、ゴミの山から宝石を探し出すような無為に興じてられるかっての。