面白かった。
あまりに面白かったので、今度は第2部を読みたくなり、これまた、近所のツタヤで借りてきた。
これも面白かった。
さて、男子が二人集まれば「ジョジョでは第何部が好き?」という話で花が咲くのが相場と決まっている。
今回、久しぶりに読み返してみて思ったんだけど、私はやっぱり第2部がいちばん好きみたいだ。いや、第3部も大好きではあるんだけど、どちらかというと、やっぱり2部のほうが好き。
もっとも、話としては、第3部のほうが面白いとは思うのだ。
ここでいう話とは、ストーリーのことではなく、戦いの見せ方のこと。
敵にはこういう能力があり、こちらにはこういう能力がある。
その諸条件を最初に明らかにしておいて、劣勢(たいてい劣勢だ)をどうやって覆していくか。
戦いの過程の描き方という意味で言えば、第3部のほうが圧倒的にこなれている。
これは、スタンドという発明で発想の幅が広がったことがいちばん大きいんだと思う。
第2部のジョセフって、多彩なアイデアを使って戦っていたような印象があったんだけど、今回、読み返してみたら、そうでもなかった。同じような糸を使うトリックが2回も出てきたし。
記憶のなかにあるよりは、ずっと単調な戦いをしてた。
その点、第3部は、敵のスタンド能力がさまざまだから、その戦いの過程が毎回バラエティに富んでいて面白い。
それじゃ、なぜ第2部のほうが好きなのか?
ここで、ちょいとK1の話を挟む。
K1というルールのなかでは、これが一番強い格闘スタイルだろう、という一般了解が出来ている。
簡単に言えば、パンチのコンビネーションとローキックを組み合わせた戦法だ。具体的に言えば、ホースト、アンディ・サワー、魔裂斗みたいなタイプ。
もちろん、これ以外のスタイルの選手が勝つこともある。一般論に例外はつきものだから。
だけど、一般的にはパンチのコンビネーション+ローキックがK1ルールではもっとも有効なスタイルだとみなされている。
昔のK1には、カポエラやテコンドーの選手が出場してた。カポエラというのは、空手バカ一代にも出てきた、ブラジルの格闘技。踊りながら蹴りを繰り出すという超変則的な格闘技。
しかし、当たり前のことながら、K1的に有効な格闘スタイルでない、彼らはあっという間に負けてた。
いまだに私はカポエラという格闘技がどれくらい強いのか、知らない。
で、第3部に出てくる敵って、この初期K1に出てきた、カポエラ使い、テコンドー選手みたいな感じがするのだ。
ジョセフの腕に取り付いた瘤のスタンド(チュミミーン)とか、砂漠での太陽のスタンドとか(あっさり負けやがったな、こいつ)、ジョセフの脳みそに入り込んだスタンド(こういう損な役回りはいつもジョセフ)だとか。
ジョジョ第3部には、こういう明らかに変則型のスタンド使いが多数出てくる。
承太郎のスタープラチナとか、ポルナレフのシルバーチャリオッツとか、味方側のスタンドのほうが、正統派でそれゆえに汎用性も高そうだ。
味方を変則型にしてしまうと、話がうまく回らないわけで、味方が正統派で、敵が変則型という、役回りに理由があることはわかる。たとえば、太陽のスタンド使いが味方だったら、何の役にもたたないし。
ただ、この役回りによって、バトル漫画としては大事なものが抜け落ちてしまった感もまた否めない。
つまり、相手が強そうに見えないってことだ。
さすがに、クライマックスに近づき、DIOの館に入ると敵もとんでもなく強そうなのが出てくる。空間を呑み込んでしまうヴァニラ・アイス、そして、DIOのザ・ワールドに私は恐怖した。こんな強そうなのに勝てるわけねーって。
ただし、館に入って最初に承太郎たちに挑んできたテレンス・T・ダービーがテレビゲームで戦っていたことを忘れてはならないだろう。あきらかに、こいつはカポエラ使いのカテゴリだ。
その点、第2部はどうだろう?
サンタナ、エシディシ、ワムウ、カーズと、こいつら人間ですらないのである。
強だし、凶だし、そして恐だ。
第2部では、圧倒的な強さを誇っているのは、常に敵側であり、それに対するジョセフたちは、波紋などという、胡散臭い能力でそれに対処しなければならない。
この絶望的なまでの強弱の差。
カーズなんて、赤石を使って、究極生命体になってからは、ジョセフはまともに戦うことすらできなかった。
こうした、強弱のコントラストが、第2部にいいようのない緊張感をもたらしていることに、今回改めて気づいた。
つまり私が言いたいのは、カーズ怖えぇ。そういうことだ。
*あと、リサリサって、リサ・ステッグマイヤーに似てないかな?
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